最近、電子書籍の普及が進んでいます。紙の本、電子書籍それぞれに良いところがありますが、環境面から見ると、どちらの方が環境にやさしいのでしょうか。
第1問 情報・印刷紙や段ボールなど様々形で紙が使われています。日本の紙の生産量は、世界で第何位でしょうか。(日本製紙連合会HPより)
正解
不正解
正解は第3位

日本の紙生産量は中国・アメリカに次いで第3位になります。また、国民1人当たりの紙消費量は2020年で178.4㎏で、世界平均の53.3kgを大きく上回っています。

第2問 電子書籍は毎年売上が伸び、普及が進んでいますが、どのような本が電子書籍で一番読まれているでしょうか。(インプレス総合研究所「電子書籍ビジネス調査報告書2022」より)
正解
不正解
正解はコミック

インプレス総合研究所の電子書籍ビジネス調査報告書2022では、2021年度の電子書籍市場うち、84%がコミックで占めていたという結果になりました。

紙の本と電子書籍のCO₂排出量比較

AさんとBさんそれぞれのパターンで本の生産~廃棄までのCO₂排出量を比較していきます。

Aさん

紙の本派。仕事帰りに本屋に寄り、本を購入している          

Bさん

電子書籍派。読書用に購入したタブレットに、電子書籍をダウンロードしている

※Bさんは電子書籍を読むためにタブレットを購入したと仮定し、タブレットの生産・流通・廃棄部分のCO₂排出量も計算に含める。
※購入する本は360ページのハードカバー本、1.5MBとする。

AさんとBさんが本の購入を続けていくと、CO₂排出量は次のようになります。
グラフからどのようなことがわかるでしょうか。

紙の本と電子書籍のCO₂排出量

発見1 タブレット+電子書籍の最初の値が大きい!
タブレットの生産~廃棄段階で排出するCO₂排出量が大きい

発見2 タブレット+電子書籍の傾きがゆるい!
タブレットで電子書籍を読むときに出るCO₂排出量はわずか

発見3 紙の本は冊数に比例して大きくなる!
紙の本のCO₂排出量は、購入冊数に比例

電子書籍と紙の本のグラフが交わるのは、約30冊の地点になります。タブレットの寿命を3年とすると、1年に10冊以上の本を読む場合、電子書籍の方が排出量が低くなります。

しかし、すでにタブレットを持っている人はどうでしょうか。タブレットの生産から手元に届くまでに出るCO₂排出量を除いて計算すると、紙の本より電子書籍の方が圧倒的に少なくなります。(本のページ数によって、排出量も変化します)
※本の買い方、読み方によっては電子書籍の方がCO₂を多く排出することもあります。

紙の本と電子書籍のCO₂排出量
(タブレット本体の排出量なし)

計算過程はこちら
  • 紙の本1冊のCO₂排出量:1.02kg – CO₂
  • タブレット端末のCO₂排出量:25.5 kg – CO₂
  • 電子書籍を読むことでのCO₂排出量:約0.005 kg – CO₂

よって冊数を増やすと次の通りになる

※日本画像学会誌第59巻第2号(2020)「電子書籍端末が買える読書の環境負荷」天沢逸里より

まとめ

年間10冊以上の本を読む場合、タブレットの方がCO₂排出量は少なくなります。
ただ、どちらが環境に良いか判断するためには、利用量や端末の寿命など、様々なことを考慮する必要があります。

RECIPE×SDGs
CO₂排出量だけでない、本の価値

電子書籍と紙の本には、CO₂排出量の他にどのような違いや効果があるでしょうか。

世界で電子化が進み、より多くの人に読書の機会が増えた
本を買いに行く時間がない人、本を買いに行けない人、本の普及が遅れている地域に住んでいる人など、今まで読書が難しかった人でも、ネット環境さえあれば、電子書籍を買うことができるようになりました。

大切に使い続け、次の読者へと循環させれば、環境にやさしい
本に書かれた内容には寿命はありません。本の価値は値段だけでなく、読んだ人1人1人にそれぞれの思いや知識を与えてくれます。本を大切に読み、手放す場合は他の人へ渡るようにすることで、多くの人と本の価値を共有することができます。