“食べ残し”は減らさなくてはいけません。しかし、調理・加工されたほとんどの食べ物は、消費期限があるため、食べ物が不足する国に援助として送ることができず、飢餓の直接的な解決にはなりません。では、“食べ残し”を減らすことは、どうして環境に良いと言われているのでしょうか。
第1問 ロスとは、「損失」、「失うこと」という意味です。次のうち「食品ロス」にあてはまるものはどれでしょうか。
正解
不正解
正解は賞味期限が切れたため、食べずに捨てた物

「食品ロス」とは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のことを言います。生ごみであっても、肉や魚の骨、コーヒーかす等の食べられないものは、食品ロスに含まれません。

第2問 全体の食品ロスの量のうち、家庭から出た「家庭系食品ロス」の量は何%でしょうか。(2020年)
正解
不正解
正解は約45%

家庭から出る「家庭系食品ロス」は約247万トン(47%)、飲食店や食品製造・卸売・小売業者の事業活動から出る「事業系食品ロス」は約275万トン(53%)になります。(出典:農林水産省令和2年度推計値)

食品ロスは環境にどんな影響を与えるのか?

世界では9人に1人が栄養不足と言われている中、日本では年間約522万トンもの食品ロスが出ています。こんなにたくさんの食べ物を捨てているのに、いま貴方の目の前にある食べ物を世界の飢餓に苦しむ人たちに届けることはできません。ではなぜ食品ロスを減らさなければならないのでしょうか。

まずは、今ある食品ロスがどのような環境問題につながるか考えてみます。

家庭や食品工場などから出た食品ロスはごみ収集車に回収された後、焼却施設で燃やされ灰になります。一人当たりの食品ロス量である年間約41.4kgの生ごみを焼却・埋立処分することで発生するCO₂は約7.3kgです。捨てるという行為で、こんなにもCO₂が発生するのです。

生ごみは水分を多く含むため、他のごみに比べ廃棄物の運搬や焼却に多くの燃料を必要とし、よりCO₂を排出します。また、焼却する時に出る熱や蒸気をエネルギーとして回収している焼却施設があるものの、すべての施設で実施されているわけではありません。

計算過程はこちら

生活系ごみの廃棄物処理工程のCO₂排出原単位:176.12(㎏ – CO₂/t)
一人当たりの食品ロス量:41.4(㎏/人・年)


食品ロス量を生ごみとして焼却・埋立処分する場合のCO₂排出量
41.4 × 176.12(㎏-CO₂/t) = 7.29(kg)
※出典:日本水処理生物学会誌第44巻 第3号129-138 2008「ディスポーザー対応浄化槽のLCCO₂評価」より

まとめ

一人あたりの食品ロスは年間41.4kgで、これを捨てるとCO₂が約7.3kg発生します。
食品ロスを減らすことは、CO₂排出量の削減だけではなく、長期的に見ると様々な効果をもたらします。

RECIPE×SDGs
それでも食べきれないとき

でも、うっかり賞味期限ぎりぎりまで食べ忘れてしまったり、具合が悪かったり、ダイエットしていたり、どうしても食べきれないことはありますよね。

フードドライブを活用してみよう
日本にも6人に1人が相対的貧困(その国の所得の水準の中で、大多数よりも所得が少なく困窮した状態)だと言われています。家庭で余っている食べ物をまとめて寄付する活動「フードドライブ」を通じて、食べきれない食べ物を必要としている人に渡すことができます。
(出典:2019年 OECD「Poverty rate」、2018年 厚生労働省「各種世帯の所得等の状況」)

生ごみは堆肥(コンポスト)に
生ごみは虫や微生物の力を使って、堆肥に生まれ変わります。実は自宅でも簡単にできるのです。ただ、処理できる量は限界があるので、食べ物を無駄にしないことを前提に始めてみてはいかがでしょうか。

フードマイレージを意識しよう
普段食べ残しをしない方は、フードマイレージを意識した食事にチャレンジしてみてはどうでしょうか。