地球上にある森林は現在減り続けています。どうして森林は減少しているのでしょうか。
また、森林がなくなると地球環境や私たちの生活にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
第1問 世界の陸地面積の中で森林は何%を占めているでしょうか。
正解
不正解
正解は約30%

2020年の時点では、世界の森林面積は約40億haで世界の陸地面積の約30%になります。対して日本は森林が約70%を占め、世界有数の森林保有国です。

第2問 2000年から2020年の20年間で、森林が増加した地域と減少した地域がありますが、合わせて森林面積はどのように変化したでしょうか。(GLOBAL FOREST WATCHより)
正解
不正解
正解は日本約2.5個分減少した

2000年から2020年にかけて、世界全体で1.01億haの森林が喪失しました。これは日本の国土面積(3780万ha)の約2.5倍にあたります。また、植林によって増えた森林を加えず、喪失した森林だけで算定した場合、2001年から2021年の間で4.37億ha喪失しました。

森林減少の主な原因

森林が減少している原因をご紹介します。

①農地への転換
森林減少の最大の原因が農地への転換です。世界人口の増加や、肉の需要が増えたことで、家畜を育てる牧草地や農耕地が足りず、森林開発が進んでいます。特に南米やアフリカの熱帯雨林帯で、農地拡大のための森林伐採が行われています。

②森林火災
農地開発時の火の不始末や落雷、地球温暖化による干ばつや猛暑により、森林火災の事例が増えています。森林火災が起こると、木々の焼失や森林に生息していた動植物が犠牲になるだけでなく、火災で放出されたCO₂によって温暖化が進行するほか、焼失した住宅の再建のために、さらに森林を伐採するなどの悪循環に陥ります。近年では、南米アマゾンやオーストラリア、カリフォルニア、ロシアなどで大規模な森林火災が起きています。

③都市化
人口増加や経済成長が進む国では、森林を切り開き道路や住居を作り、都市化が進められています。また、燃料として木材を利用するために、過度な伐採が行われている地域があります。世界有数の熱帯林アマゾンでは、2000年から2020年にかけて281万haもの森林がなくなりました。(GLOBAL FOREST WATCHより)

森林のCO₂吸収効果はどれくらい?

森林はCO₂を吸収し、酸素を大気に放出することで、地球温暖化を抑えるはたらきがあります。しかし、世界では 2001年から2021年の間に4.37億haの森林が喪失しており、これは1760億tのCO₂発生に相当すると言われています。
※植林等による森林増加量は計上しない場合の値(GLOBAL FOREST WATCHより)

日本には杉がたくさんありますが、杉1haの森林でどれくらいCO₂を吸収するでしょうか。

杉の人工林を1ha育てた場合
※杉は36~40年で伐採すると仮定

  • CO₂吸収量=約8.8t -CO₂/ 年
  • 1世帯当たりのCO₂排出量(2020年)=約2.9t – CO₂
    出典:林野庁

→杉の人工林1haで約3世帯分のCO₂排出量を吸収できる
→日本の森林が全て杉の人工林だと仮定すると、日本の2020年のCO₂排出量の約19%分を森林が吸収

計算過程はこちら

日本の森林面積:2,500万ha

〈日本の森林が全て杉だった場合〉

  • 日本の森林のCO₂吸収量=8.8(t-CO₂/ha・年)×2,500(万ha)=22,000(万t-CO₂/年)
  • 日本のCO₂排出量(2020年):115,000万t
  • 日本の森林のCO₂吸収割合=22,000÷115,000×100=19.13%

まとめ

2001年から2021年の間に4.37億haの森林が喪失し、およそ1760億tCO₂発生に相当すると言われています。
そして今も、世界全体で見ると森林は減り続けています。

RECIPE×SDGs
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