埋蔵量・産出量が多く、精錬が比較的簡単であり、様々な材料に使用されている金属をベースメタルと呼び、鉄やアルミ、銅などの金属があります。ベースメタルの反対がレアメタルです。
家電や建築物の中には、貴重な金属が使われており、特に都市で量が多いことから「都市鉱山」と言われています。これらの多くは捨てられた後、リサイクルされていません。
レアメタルとは
レアメタルとは、地球上でわずかしか取れない金属や、採掘のコストがかかるため流通量が少ない希少な金属のことです。
実は地球上に存在している金属は、金属元素で数えるとおよそ80種類にものぼります。有名な金属は鉄(Fe)、金(Au)、銅(Cu)などがありますね。80種類の金属のうち、31種類がレアメタルになります。
※レアメタルのうち、21スカンジウム、39イットリウム、57ランタン~71ルテチウムまでの17元素は、まとめて「レアアース(希土類)」と呼ばれています。レシピではレアアースの17元素を1種類として数えています。
レアメタルは、量が少なくても、熱に強い、錆びにくくなる、電気をよく通す、磁性が強いなど、様々な効果を発揮し、ものづくりにおいて重宝される原料です。今後さらに環境問題への対応で、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの導入増加に伴い、世界中でレアメタルの需要が高まる見込みです。
レアメタルが使われた材料・製品
リチウム(Li) :リチウムイオン電池
ニッケル(Ni) :電池、ステンレス、百円玉
クロム(Cr) :スプーン、飛行機、ヒーター
レアアース :電気自動車のモーター用磁石、液晶パネル
レアメタルの問題
高度な製品づくりに欠かせないレアメタルですが、実はどの国でも取れるわけではなく、産出国が限られています。例えば、レアメタルの1つのリチウムの世界の生産量を見ると、全体の49%がオーストラリア、22%がチリ、17%が中国であり、3か国で約9割を占めています。日本は残念ながらほぼすべてを海外から輸入しています。
出典:JOGMEC 鉱物資源マテリアルフロー2021リチウム(Li)
レアメタル産出国が限られていると、鉱山の大事故や政治上の理由でレアメタルの輸出が制限された時、必要量を補いきれず、レアメタル価格の上昇や工業製品が生産できないといった問題を招きます。
日本のようにすべてを輸入に頼っている国ほど、受ける影響は大きく、レアメタルの安定的な確保が重要課題となっています。
リサイクルで再生資源を作る
日本に天然のレアメタルはほとんどありませんが、レアメタルが使われた製品は日常空間にあふれており、これらを都市鉱山と呼んでいます。
都市鉱山をリサイクルし、レアメタルを再利用できれば、産出国が突然輸出を停止しても、国内でレアメタルを確保することができます。
ただ、1つの製品中のレアメタル量が少ないことや、今のリサイクル技術では採算性が悪いことが課題です。
都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト
都市鉱山からは、レアメタルに限らず、ベースメタルや金・銀などの貴金属も回収でき、国を上げて都市鉱山のリサイクルを進める動きがあります。例えば、2021年に開催された東京オリンピック2020では、携帯電話などの使用済みの小型家電から金・銀・銅を回収し、オリンピックメダルを作りました。
まとめ
レアメタルは様々な製品に欠かせないものである一方、産出国が限られ、レアメタル輸入国は安定的な確保が課題となっています。
今後は、都市鉱山のリサイクルの推進など、輸入に頼りすぎない戦略が重要です。
RECIPE×SDGs
レアメタル産出国での問題
今までレアメタルの輸入国側の視点で書いてきましたが、レアメタル産出国の中でも問題があります。
レアメタルが紛争鉱物に
アフリカ諸国では、レアメタルを売ることで得た利益が反政府組織の活動資金となる例が報告されています。このように内戦など紛争の資金源となっている鉱物を紛争鉱物と呼びます。
企業はスズ、タンタル、タングステン、金の4つの鉱物を輸入する時に紛争に関与していないものか確認する義務があります。
こんなご意見いただきました!